【シンガポールで確定申告】意外と簡単!シンガポール赴任者の個人所得税の計算・申告

『世界中のどこに住んでいても逃れられないのが「老い」と「税金」だ。』と何かで見たことがありますが、シンガポールでも例外なく税金は納めなくてはいけません。

今回は、シンガポールに赴任して、ほぼ個人経営のような会社に勤めている日本人の私が、個人所得を自分で計算して申告・納税したお話です。

シンガポールの所得税は意外とシンプルで、なんといっても日本よりかなり低い税率であることにびっくりしました。

制度的なことから、私が調べて実際にやったことを踏まえて解説していきます。

シンガポールの個人所得税の扱い

シンガポールの個人所得税の計算期間は、歴年(毎年1月~12月まで)となっていて、日本のように毎月の給与から天引きされる「源泉徴収制度」はありませんので、年度の終了後に、「確定申告」によって自分自身で所得を申告・納税する必要があります。

申告後、申告した内容にもとづいて、IRAS(Inland Revenue Authority of Singapore, 内国歳入庁)が発行する通知に従って、納税額を収めることになっています。

なので、2021 年中の所得は、2022 年に納税を行うことになります。

シンガポールの所得税の範囲

シンガポール居住者(シンガポールの滞在が年間183日以上の方。注意点があるので後半で詳しく書きます。)の課税される所得の範囲は、シンガポール国内での源泉所得だけで、シンガポール国外の源泉所得はシンガポールで課税されません。

簡単にいうと、シンガポールで勤めている会社からの給与・賞与にだけ課税される。日本など、シンガポール以外の国で収入がある場合、その国で課税されていれば、シンガポールでは課税されないということでしょう。

配当金やキャピタルゲインも非課税となるので、株式や不動産の売却益等で利益がでた場合もシンガポールで課税されません。ほんと良い国ですよね♪

シンガポールの会社からもらう給与・賞与と、もらっていれば各種手当・会社負担の住宅費等が個人の所得となり課税対象となります。

シンガポールの所得税の税率について

シンガポール居住者の所得は、日本と同じく累進課税となっています。

ただ、シンガポールの所得税の税率は0%~22%の範囲で、日本にくらべると格段に低いですね。

さらに、日本では所得税に加えて、住民税が課せられますが、シンガポールには住民税はありません!

何度も言いますが、ほんと良い国ですよね~

実際の所得税額は、以下の表で計算できます。

課税所得
(SGD)
税率所得税額
(SGD)
$(%)$
最初の20,00000
次の10,0002.0200
最初の30,000200
次の10,0003.5350
最初の40,000550
次の40,0007.02,800
最初の80,0003,350
次の40,00011.54,600
最初の120,0007,950
次の40,000156,000
最初の160,00013,950
次の40,000187,200
最初の200,00021,150
次の40,000197,600
最初の240,00028,750
次の40,00019.57,800
最初の280,00036,550
次の40,000208,000
最初の320,00044,550
320,000
を超える額
22
個人所得税の税率表(2022年4月時点)

一見分かりづらいように見えますが、見方がわかると単純なものです。

また、よくわからなくても、実際の計算はIRASのサイトからダウンロードできる計算用シートに、所得や控除項目を入力していけば、自動で計算されるので安心してください。

上記の表は、自分でどのくらいの所得税額になるのか確認するために使うくらいです。

実際に金額を入れて計算してみましょう。

例えば、毎月の給与が$5,500、ボーナスが$5,500(1か月分)の合計年収$71,500の場合、

課税所得が$40,000以上 – $80,000未満なので、「最初の 40,000」 + 「次の 40,000」から計算できます。

計算方法は、

  • $71,500の内の$40,000に対しては$550
  • 残りの$31,500に対して7%の税率がかかる

という仕組みです。

<計算式>

$550 + ($31,500 × 7%)  =  $2,755

ですので、合計の所得税金額は $2,755 となります。

シンガポールの所得税の申告・納税について

シンガポールで個人の所得税の申告・納税は以下のような流れで手続きします。
基本的にすべてオンラインで完結します。

  1. シンガポールで会社勤めの方は、FORM IR8Aと呼ばれる給与の所得証明を雇用主から受け取ります。(シンガポール企業の雇用主は、各従業員の前年の所得について、所得証明を翌年の 3 月 1 日までに発行する義務があります。)
  2. FORM IR8Aをもとに、IRASのWebサイトの案内に従って申告を行います。期限は、オンライン申請が毎年4月18日まで、紙での申請が4月15日までとのこと。(2022年時点)
    IRASのWebサイトに、かなり細かく手続きが書いてあるので、よく読めばわかるようになっています。
    どうしてもわからないときは、シンガポールに住んでいる先輩や友達に聞いてみましょう。毎年やっているので、みんななんとなくは理解しているはずです!
  3. 申告手続き後、IRAS からNotice of Assessment (NOA)と呼ばれる納税通知が届きますので、納税通知書を受け取ってから1ヶ月以内に電子的に納税します。

年度の途中から赴任・途中で帰国する場合の注意

シンガポールの所得税は、1年のうちどれだけの期間シンガポールに滞在していたかによって、税額計算方法が変わります。

1月から12月までの期間で、

シンガポール国内の滞在日数が60日以下の場合=免税

シンガポール国内の滞在日数が182日以下=非居住者の税率

シンガポール国内の滞在日数が183日以上=居住者の税率

となります。

滞在日数が183日以上の居住者税率は、先述したとおりの累進課税なのですが、滞在日数が182日以下の非居住者税率の場合、「一律 15%で計算した金額か、居住者の税率で計算した金額のいずれか大きい方」が課税額となります。

※滞在日数と書いていますが、ただ単にシンガポールにいた日数ではなくて、シンガポールの会社に所属していた日数だと思います。(違ったらすみません。)

具体的にいうと、毎月の給与が$5,550で1月1日~6月30日までシンガポールに滞在し(6ヶ月分の給与を受け取る)、7月1日に日本に帰国する場合、

滞在日数は180日で、183日以下なので、非居住者の税率となります。

具体的には、

給与所得が$5,500 × 6 = $33,000
①一律の15%で計算すると、$33,000 × 15% = $4,950
②累進課税で計算すると、$33,000のうち$30,000には$200、残りの$3,000に対して3.5%の税率なので、$200 + $3,000 × 3.5% = $305

①②の大きい方が適用されるので、①の$4,950が納める所得税になります!

正直1年間丸ごと滞在したときより6ヶ月程度の滞在の方が所得税は高くなるケースがほとんどなのです。(計算してないけど、給与がめちゃめちゃ高いとそうでもないのかな??)

なので、可能であれば、会社と交渉して、滞在日数が183日以上となるように、会社の在籍日数を伸ばしてもらって(もちろん合法的にちゃんと勤務するのが大前提です)、所得税額を低くすることも一つの手かと思います。

まとめ

シンガポールの個人所得税の申告・納税は、すべてオンラインで完結するので、めちゃくちゃ楽チンです。

所得税額も日本と比べると格段に安く、各種控除や、キャピタルゲインが非課税など、税金を払うのに得した気分になる制度です。

シンガポールで働いていると必ずやらなければいけないので、ぜひとも早めにやってみてください。

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